3月の本「横道世之介」吉田修一
もう4月も半ばになってしまったんですが、3月の本の感想です。
2月も「2月は文庫1冊しか読めなかった…」とぼやいていましたが、なんと3月もなかなかの忙しさで、2冊だけ。
2月の本はこれでした
▶ 2月の本「あの家に暮らす四人の女」三浦しをん - 日々のもろもろ
3月の本もう1冊
▶ 3月の本「疲れない脳を作る生活習慣」 - 日々のもろもろ
「横道世之介」吉田修一
上京したての大学1年生の、上京1年目の青春物語です。
わたしも大学入学とともに上京したクチで、かつ限りなく「埼玉な東京」に住んでいたのでとても親近感が沸きつつ、当時のことを思い出して懐かしく甘酸っぱいような気持になりました。
長崎の港町生まれ。その由来は『好色一代男』と思い切ってはみたものの、限りなく埼玉な東京に住む上京したての18歳。嫌みのない図々しさが人を呼び、呼ばれた人の頼みは断れないお人好し。とりたててなんにもないけれど、なんだかいろいろあったような気がしている「ザ・大学生」。どこにでもいそうで、でもサンバを踊るからなかなかいないかもしれない。なんだか、いい奴。
――世之介が呼び覚ます、愛しい日々の、記憶のかけら。名手・吉田修一が放つ、究極の青春小説!
愛すべき上京組、愛すべき平凡な日々
舞台はバブル直前の80年代なので、わたしの上京したときとは環境が大きく違うわけですが(ケータイがないので家電に電話したり!)、それでも初めて新宿駅に行って人混みに圧倒されたり、初めての「自分の家」のドアを開けるときの気持ち、友達の家に入り浸ったり、バイトに明け暮れたり。
初めて親元を離れて慣れない土地で一人暮らしをしたことがある人ならだれでも感じた、爽やかな緊張感をまざまざと思いださせます。
個性豊かで、でも自分のまわりにもいる?登場人物
初めて暮らす街で出会う、学部の友達やサークルの先輩、女の子や憧れの人、大学デビューで変わっていく地元の友達など、みんな個性的で魅力たっぷりな人たちですが、どこか自分のまわりにも居たような。
初めて出会う人たちからいろんな影響を受けて、時には助け合ったり支えたり。
基本的には大学時代がベースに物語は進むんですが、合間合間に現代の「彼ら」の話が挟み込まれます。
当時は大きな事件やハプニングはさほど起こってない、ささやかなひとときでも、「あとから考えるとこれがきっかけだったのかなぁ」と思えるような一幕も感じられます。
そんな、いかにも平穏な日常や出会いが、徐々に人の性格や適性など育てていく様が美しく描かれていて「うまいなー!!」と思いました。
上京から1年たったころの世之介の、成長と言っていいのかわからないけれどなんだか垢抜けたような、大人びたような絶妙な変化に、もはや親目線と言える視点で静かな感動があります。
高良健吾主演の映画版も楽しみ!
実は友達に「横道世之介って映画よかったよ」というリコメンドをいただいてから知ったこの作品。
映画版もばっちり録画したまま「本読み終わってから観るぞ」と、予告編すら観ず、キャストも高良健吾以外は知らない、という状態で我慢しておりました。
映画自体は2012年の映画なので結構前ですね。
(読み終わって、ようやくとりあえず予告編は観ました)
ようやく読み終わった!ということで映画も観たい気持ちは早っているんですが、「続・横道世之介」が最近出たので、これを読んでから観るべきか…とまだ悩んでいるところ。
4月の本は、「人間はいろいろな問題についてどう考えていけばいいのか」森博嗣
twitterでおすすめされており、興味を持った1冊です。
「最近自分はものを考えるのが苦手なのでは?」と思うことが多々あり、「思考」についての本を読んでみたくなりました。
普段読むのは小説が多いんですが、久々に新書です。
本当に久々で、ただでさえものを考えるのが苦手なので、少し緊張しながら読み始めました。
まだ少ししか読んでないのでなんとも言えないんですが、「抽象的な視点」や「客観的な視点」はどうすれば持てるようになるのか?ということなど。
わたしもこれが苦手で、いつも細かいことばかりに目がいってしまったり、大枠をとらえるのが苦手なところがあるので、ものごとの全体像や大枠を見て考えられるようになれればなあ、と思っています。
(ちなみに「すべてがFになる」や「スカイクロラ」で有名な森博嗣ですが、実は彼の本は1冊も読んだことがないままに読んでいます。)
こちらもぜひ